この記事を読むと分かること
・無理数の相等とは何か
・無理数の相等の証明
・無理数の相等を使うときの記述の書き方
・無理数の相等が関わる問題
無理数の相等とは
無理数の相等とは、a,bを有理数、αを無理数とするとき、
a+bα=0⇒a=b=0
が成り立つという定理のことを指します。
無理数の相等の証明
無理数の相等は、背理法によって証明することができます。
b=0であると仮定すると、
a+bα=0⇔α=−ba
と変形することができるが、αは無理数であり、a,bは有理数であるので、
(無理数)=(有理数)
となってしまい矛盾。
よって、b=0であり、これを代入すると、a=0も分かる。
したがって、示された。
無理数の係数となっている方だけを0でないと仮定するというのが証明のポイントです。片方が0だと分かれば、もう一方も0であることは即座に分かりますね。
無理数の相等の記述の書き方
無理数の相等を答案で使うときは、どれが有理数でどれが無理数であるかを明記するようにしましょう。すなわち、
(有理数)+(有理数)×(無理数)=0
の形になっていることを、必ず確かめましょう。
ただし、「無理数の相等より」という文言を入れる必要はないです。もちろん、入れても構いません。
簡単な例題を通して、記述の書き方を学びましょう。
問題
以下の式を満たす有理数x,yを求めよ。ただし、2が無理数であることは証明なしに用いてよい。
(x+y+1)+(3x+2y)2=0
x,yが有理数であることから、無理数の相等が使えて、連立方程式を立てることができますね。
以下、解答例です。
x,yが有理数であることから、x+y+1,3x+2yはともに有理数であり、また、2は無理数であるから、
{x+y+1=03x+2y=0⇔{x=2y=−3
したがって、(x,y)=(2,−3)
記述を書くときはこのような感じで書きましょう!
無理数の相等が関わる問題3選
無理数の相等の使い方に慣れるために、無理数の相等が関わる問題を解いていきましょう!
問題1
問題
(1+2)x+(1−2)y=3+2
を満たす有理数x,yを求めよ。
解答・解説
1つしか式がないのに、x,yの2つの値が定まるのが一見不思議に見えますが、x,yが有理数に限定されていることから、無理数の相等が使えそうです。
無理数の相等を用いるために、2がかかっている部分と、かかっていない部分にまずは整理しましょう。
時間があれば、2が無理数であることも証明してよいと思いますが、基本的には証明なしに2が無理数であることを用いてしまってよいでしょう。
以下、解答例です。
(1+2)x+(1−2)y=3+2⇔(x+y−3)+(x−y−1)2=0
x,yが有理数であるとき、x+y−3,x−y−1はともに有理数であり、2は無理数であるから、
{x+y−3=0x−y−1=0⇔{x=2y=1
したがって、(x,y)=(2,1)
問題2
問題
方程式x2−(1+3)x+23=0は有理数解を持たないことを示せ。
解答・解説
2次方程式なので、解の公式を用いることでこの方程式の解を求めることができますが、
x=21+3±4−63
が無理数であることを証明する必要があり、やや面倒そうです。
そこで、背理法による証明を考えてみましょう。有理数解αを持つと仮定すると、3がかかっている部分とかかっていない部分に分けることができ、無理数の相等によってαに関する式が2つ出てきます。
その2つの式を同時に満たすようなαが求まらないことを示してあげれば、有理数解を持たないことを示すことができますね!
ちなみに、今回は無理数が係数に登場する方程式を扱ったため、このような解法になりますが、有理数係数の方程式の場合は、そもそも有理数解の候補が限定されているので、その候補を調べていくだけで済みます。
詳しくは以下の記事を読んでみてください。
関連記事を見る
以下、解答例です。
有理数解αを持つと仮定すると、αは、
⇔α2−(1+3)α+23=0(α2−α)+(2−α)3=0
をみたす。ここで、α2−α,2−αは有理数であり、3は無理数であるから、
{α2−α=02−α=0
が成り立つ。2式目より、α=2が必要であるが、これは1式目を満たさないので、この2式を同時に満たすαは存在しない。
したがって、元の仮定が誤りであり、有理数解を持たない。
問題3
問題
(1)231が無理数であることを証明せよ。
(2)231は有理数を係数とする2次方程式の解とはなりえないことを証明せよ。
解答・解説
(1)については、2が無理数であることを証明するのと同じ流れで示すことができるので、特に問題ないでしょう。
(2)はかなり難しい問題です。先ほどの問題2のように231を代入してから整理して無理数の相等を用いれば行けるのかな、と思いたくなるところですが、231と232という2種類の無理数が出てくることになってしまうので、うまくいきません。
そこで、どういう流れで証明ができそうか考え直してみましょう。
解とはなりえない、という命題は背理法によって証明できそうですが、背理法を用いる時には、「どのようにして矛盾が起こるか」という部分を予め考えておくことが大事です。
(1)で231が無理数であることを証明させられたので、231=(有理数)という形に式が変形できてしまうことで矛盾が導けるのかなと予想ができます。
さて、そのような式変形ができるようになるには、231に関する1次式になっていないと困りますよね。今ある2次方程式を1次式にするにはどうすればいいでしょうか?
もし231を解に持つ方程式があれば、その式を用いて次数下げができますよね。231が2の3乗根であるということを考えると、
x3−2=0
という方程式が簡単に見つかります。これを使って1次以下の式に次数下げすれば、先ほどのような展開で矛盾が導けそうです!
以下、解答例です。
(1) 231が有理数であると仮定すると、互いに素な自然数m,nを用いて、
231=mn
と書ける。分母を払って、両辺を3乗すると、
2m3=n3
左辺は偶数であるから、nは偶数であり、自然数kを用いて、n=2kと書ける。これを代入すると、
2m3=8k3⇔m3=4k3
右辺は偶数であるから、mも偶数となる。しかし、これはm,nが互いに素であることと矛盾する。
したがって、元の仮定が誤りであり、231は無理数である。
(2) a,b,cを有理数とし、a=0とする。231が2次方程式ax2+bx+c=0の解であると仮定する。α=231とおくと、
aα2+bα+c=0
をみたす。
また、231はx3−2=0という方程式の解でもあり、
==α3−2(aα2+bα+c)(aα−a2b)+(−ac+a2b2)α+a2bc−2(−ac+a2b2)α+a2bc−2
であるから、(−ac+a2b2)α+a2bc−2=0が成り立つ。
ここで、a,b,cは有理数より、(−ac+a2b2),a2bcはともに有理数で、αは(1)より無理数であるので、
{−ac+a2b2=0a2bc−2=0
が成り立つ。
1式目より、
c=ab2
であり、これを2式目に代入すると、
(ab)3=2
∴ab=231
となるが、左辺は有理数であり、右辺は(1)より無理数であるので矛盾。
したがって、元の仮定が誤りであり、231は有理数を係数とする2次方程式の解にはなりえない。
(2)はかなり長い議論になりますが、
1.(有理数)=(無理数)の形で矛盾を導くという見通しを立てておくこと
2.次数下げをして231の1次式を作ること
の2点を押さえておけば大部分の得点は獲得できるでしょう。
解答例の黄色い下線を引いた部分まで変形を進めてから、
α=−ac+a2b2a2bc−2
と変形してしまうミスがありますが、これは、分母が0になる可能性を考えていないという点で減点されてしまいますね。
そこで、代わりに無理数の相等を用いて、a,b,cに関して成り立つ式を導いています。答案を作る時にはこの点にも注意できるといいですね。
まとめ
・無理数の相等とは、a,bを有理数、αを無理数とするとき、
a+bα=0⇒a=b=0
が成り立つという定理のこと
・無理数の相等は背理法で示せる
・無理数の相等を記述で用いるときはどれが無理数でどれが有理数であるかを明記する