合成関数の微分公式は?証明や覚え方を例題付きで東大医学部生が解説!

2019-11-07

この記事を読むとわかること

・合成関数の微分公式とはなにか

・合成関数の微分公式の覚え方

・合成関数の微分公式の証明

・合成関数の微分公式が関わる入試問題

合成関数の微分公式は?

そもそも合成関数とは

合成関数とは、関数ffxxyyに対応させて、関数ggyyzzに対応させるとき、xxzzに対応させる関数をffggの合成関数と呼び、g(f(x))g(f(x))と書きます。

 

例えば、f(x)=x2+1,g(x)=x2f(x)=x^2+1,\,g(x)=x^2であるとき、g(f(x))=(x2+1)2g(f(x))=(x^2+1)^2となります。

合成関数の微分公式は?

合成関数を微分するときには、以下の微分公式が成り立つことが知られています。

合成関数の微分公式

{g(f(x))}=f(x)g(f(x))\left\{g(f(x))\right\}'=f'(x)g'(f(x))

合成関数の微分公式を覚えておくことで、複雑な関数の微分計算を素早く行うことができます。

合成関数の微分公式の覚え方

合成関数の微分公式は「箱の微分に中身を代入したもの×中身の微分」と覚えておくと覚えやすいです。

f(x)=x2+1,g(x)=x2f(x)=x^2+1,\,g(x)=x^2のときにg(f(x))=(x2+1)2g(f(x))=(x^2+1)^2という合成関数の微分をしてみましょう。

 

まず、この合成関数をggという箱の中にffが入ったものだと捉えます。

「箱の微分に中身を代入したもの」とは箱の微分すなわちg(x)=2xg'(x)=2xf(x)=x2+1f(x)=x^2+1を代入したものなので、

2(x2+1)2(x^2+1)

のことを指します。

また、「中身の微分」とは箱の中身の微分すなわちf(x)=2xf'(x)=2xのことを指します。

 

したがって、「箱の微分に中身を代入したもの」と「中身の微分」の積は、

2(x2+1)2x=4x(x2+1)2(x^2+1)\cdot 2x=4x(x^2+1)

となります。これは展開してから微分したものと一致することが容易に確かめられますね。

合成関数の微分公式の証明

合成関数の微分公式の証明は以下のようになります。以下の証明において、ffggは連続かつ微分可能な関数を表しています。

{g(f(x))}=limh0g(f(x+h))g(f(x))h=limh0g(f(x+h))g(f(x))f(x+h)f(x)f(x+h)f(x)h\begin{align*}&\left\{g(f(x))\right\}'\\=&\lim_{h\to 0}\frac{g(f(x+h))-g(f(x))}{h}\\=&\lim_{h\to 0}\frac{g(f(x+h))-g(f(x))}{f(x+h)-f(x)}\cdot\frac{f(x+h)-f(x)}{h}\end{align*}

ここで、f(x)f(x)は連続であるから、h0h\to 0であればf(x+h)f(x)0f(x+h)-f(x)\to 0となるから、

limh0g(f(x+h))g(f(x))f(x+h)f(x)f(x+h)f(x)h=g(f(x))f(x)\begin{align*}&\lim_{h\to 0}\frac{g(f(x+h))-g(f(x))}{f(x+h)-f(x)}\cdot\frac{f(x+h)-f(x)}{h}\\=&g'(f(x))f'(x)\end{align*}

定義にしたがって微分する中で、f(x+h)f(x)f(x+h)-f(x)で割ってかけることにという上手い変形を施すのがポイントとなっています。

合成関数の微分が関わる入試問題

**合成関数の微分を理解したら、入試問題を解きましょう!**合成関数の微分をするだけの問題というのはなかなか出てこないので、問題を解く中で合成関数の微分の知識が必要になるものを取り上げたいと思います。

問題1

解答・解説

(1)において導関数f(x)f'(x)を求める際に、合成関数の微分公式を利用する必要があります。11+ex\frac{1}{1+e^{-x}}を微分する際には、まず、1x\frac{1}{x}という箱と1+ex1+e^{-x}という中身だとみなして、

(11+ex)=(1+ex)(1+ex)2\left(\frac{1}{1+e^{-x}}\right)'=-\frac{(1+e^{-x})'}{(1+e^{-x})^2}

となり、さらに、exe^{-x}exe^xという箱とx-xという中身でできているものだとみなせば、

(ex)=ex(e^{-x})'=-e^{-x}

となるので、微分が求まりますね。

 

導関数が求まったあとは、相加相乗平均の大小関係を用いて最大値を求めることができます。相加相乗平均の大小関係については以下の記事が詳しいです。

関連記事を見る (3)は数列の極限に関する問題です。数列の極限を求めるときは、an+1a_{n+1}ana_nxxに置き換えたときの解を両辺から引いた式を作り、ana_nとその値との差の絶対値が徐々に小さくなっていくという式を作るのでした。

数列の極限値を求める議論はいつも決まりきっているので、流れを覚えておくようにしましょう。

以下、解答例です。

(1)

f(x)=(11+ex)=ex(1+ex)2=exe2x+2ex+1=1ex+1ex+2\begin{align*}f'(x)=&\left(\frac{1}{1+e^{-x}}\right)'\\=&\frac{e^{-x}}{(1+e^{-x})^2}\\=&\frac{e^{x}}{e^{2x}+2e^x+1}\\=&\frac{1}{e^x+\dfrac{1}{e^x}+2}\end{align*}

ここで、ex>0e^x>0であるから、相加相乗平均の大小関係より、

1ex+1ex+212ex1ex+2=14\frac{1}{e^x+\dfrac{1}{e^x}+2}\leqq \frac{1}{2\sqrt{e^x\cdot \dfrac{1}{e^x}}+2}=\frac{1}{4}

等号成立は、ex=1exe^x=\frac{1}{e^x}つまりx=0x=0のとき。

したがって、求めるf(x)f'(x)の最大値は14\boldsymbol{\frac{1}{4}}

 

(2) g(x)=f(x)xg(x)=f(x)-xとおくと、(1)より、

g(x)=f(x)134<0g'(x)=f'(x)-1\leqq -\frac{3}{4}<0

よって、g(x)g(x)は単調減少する。また、

limxg(x)=\lim_{x\to \infty}g(x)=\infty

limxg(x)=\lim_{x\to -\infty}g(x)=-\infty

で、g(x)g(x)は連続であるから、方程式g(x)=0g(x)=0すなわち方程式f(x)=xf(x)=xはただ一つの実数解を持つ。

 

(3) f(x)=xf(x)=xのただ一つの実数解をα\alphaとおくと、α=f(α)\alpha=f(\alpha)であるから、これをan+1=f(an)a_{n+1}=f(a_n)から辺々引いて、

an+1α=f(an)f(α)a_{n+1}-\alpha=f(a_n)-f(\alpha)

ここで、anαa_n\ne\alphaのとき、f(x)f(x)は全実数で微分可能であるから、平均値の定理より、

f(an)f(α)=f(cn)(anα)f(a_n)-f(\alpha)=f'(c_n)(a_n-\alpha)

を満たす実数cnc_nana_nα\alphaの間に存在する。これを代入して、両辺の絶対値を取ると、

an+1α=f(cn)anα|a_{n+1}-\alpha|=|f'(c_n)||a_n-\alpha|

となる。ここで、(1)よりf(x)f'(x)は常に正で、最大値が14\frac{1}{4}であるので、

f(cn)14|f'(c_n)|\leqq \frac{1}{4}

が言える。これとanα>0|a_n-\alpha|>0より、

an+1α=14anα|a_{n+1}-\alpha|=\frac{1}{4}|a_n-\alpha|

an=αa_n=\alphaのときもこれは成り立つ。この式を繰り返し用いれば、

anα(14)n1a1α|a_n-\alpha|\leqq \left(\frac{1}{4}\right)^{n-1}|a_1-\alpha|

となる。よって、

0anα(14)n1a1α0\leqq |a_n-\alpha|\leqq \left(\frac{1}{4}\right)^{n-1}|a_1-\alpha|

limn(14)n1a1α=0\lim_{n\to \infty}\left(\frac{1}{4}\right)^{n-1}|a_1-\alpha|=0

より、はさみうちの原理から、

limnanα=0\lim_{n\to \infty}|a_n-\alpha|=0

すなわち、

limnan=α\lim_{n\to \infty}a_n=\alpha

が言える。したがって、題意成立。

問題2

解答・解説

積の微分や合成関数の微分を用いる問題になります。2つ関数の大小を考えるときには、差を取って微分をすればうまくいくことが多いのでした。

2つの関数f(x),g(x)f(x),\,g(x)についてf(x)>g(x)f(x)>g(x)がなりたつことを示すときには、f(x)g(x)f(x)-g(x)を微分して常に00より大きいことを示す流れがうまくいくことが多い

しかし、この問題では単純に差を取って微分をしているだけでは行き詰まってしまいます。なぜなら、何回微分をしても指数関数と三角関数が混在している状況から抜け出せないからです。

 

そこで、両辺にex22e^{-\frac{x^2}{2}}をかけて、ex22cosxe^{\frac{x^2}{2}}\cos{x}の形にすると、微分したあとの式をex22e^{\frac{x^2}{2}}でくくることができ、三角関数のみが含まれた部分を作り出すことができます

指数関数と三角関数が混在した式を微分したいなら、指数関数×三角関数の形にしてから!

この知識がないと、延々と微分をして何をしていけばいいのかわからなくなってしまうので、難易度としては難しいと言えるでしょう。

 

ex22e^{\frac{x^2}{2}}を微分するときには、exe^xが箱で、x22\frac{x^2}{2}が中身になるので、合成関数の微分を用いると、

(ex22)=xex22(e^{\frac{x^2}{2}})'=xe^{\frac{x^2}{2}}

と計算できます。

 

答案は以下のようになります。

ex22>cosxe^{-\frac{x^2}{2}}>\cos{x}

の両辺にex22(>0)e^{\frac{x^2}{2}}(>0)をかけて、

ex22cosx<1e^{\frac{x^2}{2}}\cos{x}<1

よって、この不等式が0<x<π20<x<\frac{\pi}{2}において成立することを示せばよい。

左辺をf(x)f(x)とすると、

f(x)=xex22cosxex22sinx=ex22(xcosxsinx)\begin{align*}f'(x)=&xe^{\frac{x^2}{2}}\cos{x}-e^{\frac{x^2}{2}}\sin{x}\\=&e^{\frac{x^2}{2}}(x\cos{x}-\sin{x})\end{align*}

ex22>0e^{\frac{x^2}{2}}>0であることから、g(x)=xcosxsinxg(x)=x\cos{x}-\sin{x}とおくと、f(x)f^{\prime}(x)の符号とg(x)g(x)の符号は一致する。

g(x)=xsinx+cosxcosx=xsinxg'(x)=-x\sin{x}+\cos{x}-\cos{x}=-x\sin{x}

これは、0<x<π20<x<\frac{\pi}{2}において常に負であるので、g(x)g(x)は単調減少し、

g(x)<g(0)=0g(x)<g(0)=0

よって、f(x)<0f^{\prime}(x)<0が分かるので、f(x)f(x)は単調減少し、

f(x)<f(0)=1f(x)<f(0)=1

が成り立つ。したがって、題意成立。

まとめ

・合成関数とは2つの関数を順に作用させるのをまとめて一つの関数とみなしたもの

・合成関数g(f(x))g(f(x))を微分するとf(x)g(f(x))f'(x)g'(f(x))となる

・「箱の微分に中身を代入したもの×中身の微分」と覚えておくとよい

・合成関数の微分公式の証明はf(x+h)f(x)f(x+h)-f(x)で割ってかけるという変形がポイント

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