【2025年】東大数学の過去問解説!理系・文系の全問を東大医学部卒が講評します!

2026-03-10

この記事を読むとわかること

・2025年度東大理系数学(全6問)の問題内容・解法・難易度

・2025年度東大文系数学(全4問)の問題内容・解法・難易度

・合格点を取るための戦略

・2026年度の受験生へのアドバイス

2025年度の東大数学は過去最高レベルの難しさだった

理系も文系も大幅難化!

2025年度の東大数学は、理系・文系ともに近年稀に見る難しさでした。前年(2024年度)がやや穏やかだっただけに、そのギャップに戸惑った受験生も多かったのではないでしょうか。

理系に至っては、典型パターンの問題が1題もないという異例のセットで、標準回答時間が220分と試験時間の150分を大幅に超えるという見積もりも出ています。

こういう年は、「解ける問題を確実に取る」という戦略がいつも以上に重要になります。完答を狙うよりも部分点をかき集める方が合格への近道だったと言えますね。


東大理系数学 2025年度 全6問の解説

第1問:点の軌跡・面積・曲線の長さ【難易度B】

問題

座標平面上に正方形の頂点 A(0,0)A(0,0), B(0,1)B(0,1), C(1,1)C(1,1), D(1,0)D(1,0) がある。実数 0<t<10 < t < 1 に対して、線分 ABAB, BCBC, CDCDt:(1t)t:(1-t) に内分する点をそれぞれ PtP_t, QtQ_t, RtR_t とする。線分 PtQtP_tQ_t, QtRtQ_tR_tt:(1t)t:(1-t) に内分する点をそれぞれ StS_t, TtT_t とする。線分 StTtS_tT_tt:(1t)t:(1-t) に内分する点を UtU_t とする。U0=AU_0 = A, U1=DU_1 = D と定める。

(1)UtU_t の座標を求めよ。

(2) tt0t10 \leq t \leq 1 の範囲を動くときに点 UtU_t が描く曲線と、線分 ADAD で囲まれた部分の面積を求めよ。

(3) 0<a<10 < a < 1 を満たす実数 aa に対して、tt0ta0 \leq t \leq a の範囲を動くときに点 UtU_t が描く曲線の長さを aa の多項式の形で求めよ。

解法

(1) 内分点の公式を繰り返し適用していきます。

PtP_t, QtQ_t, RtR_t の座標をそれぞれ求めた後、同様に StS_t, TtT_t、そして UtU_t を計算すると、

Ut=(2t3+3t2,3t2+3t)U_t = (-2t^3+3t^2,\, -3t^2+3t)

が得られます。t=0t=0A(0,0)A(0,0)t=1t=1D(1,0)D(1,0) となることも確認できますね。

(2) 媒介変数表示された曲線と線分 ADADxx 軸の 0x10 \leq x \leq 1 の部分)で囲まれた面積を求めます。

xx 座標の微分は dxdt=6t2+6t=6t(t1)\frac{dx}{dt} = -6t^2+6t = -6t(t-1) で、0<t<10 < t < 1 では正です。また yy 座標は 0t10 \leq t \leq 1 で非負ですから、面積は

S=01ydxdtdt=01(3t2+3t)(6t2+6t)dtS = \int_0^1 y\,\frac{dx}{dt}\,dt = \int_0^1 (-3t^2+3t)(-6t^2+6t)\,dt

=1801(t42t3+t2)dt=18[t55t42+t33]01=18130= 18\int_0^1 (t^4-2t^3+t^2)\,dt = 18\left[\frac{t^5}{5}-\frac{t^4}{2}+\frac{t^3}{3}\right]_0^1 = 18 \cdot \frac{1}{30}

=35= \boldsymbol{\frac{3}{5}}

(3) 曲線の長さの公式を使います。

dxdt=6t2+6t,dydt=6t+3\frac{dx}{dt} = -6t^2+6t, \quad \frac{dy}{dt} = -6t+3

(dxdt)2+(dydt)2=(6t2+6t)2+(6t+3)2\left(\frac{dx}{dt}\right)^2+\left(\frac{dy}{dt}\right)^2 = (-6t^2+6t)^2+(-6t+3)^2

=36t472t3+36t2+36t236t+9=36t472t3+72t236t+9= 36t^4-72t^3+36t^2+36t^2-36t+9 = 36t^4-72t^3+72t^2-36t+9

ここで、36t472t3+72t236t+9=9(2t22t+1)236t^4-72t^3+72t^2-36t+9 = 9(2t^2-2t+1)^2 と完全平方式になります!

したがって、

L=0a3(2t22t+1)dt=3[2t33t2+t]0a=2a33a2+3aL = \int_0^a 3(2t^2-2t+1)\,dt = 3\left[\frac{2t^3}{3}-t^2+t\right]_0^a = \boldsymbol{2a^3-3a^2+3a}

講評

6問の中では最も取り組みやすい問題でした。(1)は内分点の繰り返しで地道に計算、(2)は媒介変数の面積公式、(3)は曲線の長さの公式と、複数のトピックを横断的に問う良問です。

ルートの中身が完全平方式になるのはとても綺麗ですよね。ここで7〜8割以上の得点を確保できたかどうかが合否の分かれ目だったと思います。


第2問:不等式の証明と積分の極限【難易度D】

問題

(1) x>0x > 0 のとき、不等式 logxx1\log x \leq x - 1 を示せ。

(2) 次の極限を求めよ。

limnn12log(1+x1n2)dx\lim_{n \to \infty} n \int_1^2 \log \left( \frac{1+x^{\frac{1}{n}}}{2} \right) dx

解法

(1) f(x)=x1logxf(x) = x - 1 - \log x とおくと、f(x)=11xf'(x) = 1 - \frac{1}{x} です。

0<x<10 < x < 1f(x)<0f'(x) < 0(単調減少)、x>1x > 1f(x)>0f'(x) > 0(単調増加)なので、f(x)f(x)x=1x = 1 で最小値 f(1)=0f(1) = 0 を取ります。

よって、f(x)0f(x) \geq 0、すなわち logxx1\log x \leq x - 1 が成り立ちます。\blacksquare

(2) (1)の不等式を使ってはさみうちの原理に持ち込みます。

上からの評価: (1)より logyy1\log y \leq y - 1y=1+x1/n2y = \frac{1+x^{1/n}}{2} とすれば、

log(1+x1/n2)1+x1/n21=x1/n12\log \left( \frac{1+x^{1/n}}{2} \right) \leq \frac{1+x^{1/n}}{2} - 1 = \frac{x^{1/n}-1}{2}

下からの評価: 相加平均・相乗平均の関係 1+x1/n2x1/n\frac{1+x^{1/n}}{2} \geq \sqrt{x^{1/n}} より、

log(1+x1/n2)logx1/n=12nlogx\log \left( \frac{1+x^{1/n}}{2} \right) \geq \log \sqrt{x^{1/n}} = \frac{1}{2n} \log x

よって、

1212logxdxn12log(1+x1/n2)dxn212(x1/n1)dx\frac{1}{2}\int_1^2 \log x\,dx \leq n\int_1^2 \log \left( \frac{1+x^{1/n}}{2} \right) dx \leq \frac{n}{2}\int_1^2 (x^{1/n}-1)\,dx

左辺は 12[xlogxx]12=12(2log21)=log212\frac{1}{2}[x\log x - x]_1^2 = \frac{1}{2}(2\log 2 - 1) = \log 2 - \frac{1}{2} です。

右辺については、nn \to \infty のとき x1/n1x^{1/n} \to 1 であることを利用して計算すると、

n212(x1/n1)dx=n2[nn+1x(n+1)/nx]1212(2log21)=log212\frac{n}{2}\int_1^2 (x^{1/n}-1)\,dx = \frac{n}{2}\left[\frac{n}{n+1}x^{(n+1)/n}-x\right]_1^2 \to \frac{1}{2}(2\log 2 - 1) = \log 2 - \frac{1}{2}

はさみうちの原理より、

limnn12log(1+x1/n2)dx=log212\lim_{n \to \infty} n \int_1^2 \log \left( \frac{1+x^{1/n}}{2} \right) dx = \boldsymbol{\log 2 - \frac{1}{2}}

講評

(1)は微分を使った典型的な不等式の証明で、これ自体は標準的です。問題は(2)で、(1)の結果を使ってはさみうちに持ち込むという方針は見えても、下からの評価をどう作るかで発想力が試されました。

相加平均・相乗平均の関係に気づけるかどうかがこの問題のカギですね。かなりの難問で、本番でここに時間をかけすぎると致命傷になりかねない問題でした。


第3問:平行四辺形に外接する長方形の面積【難易度C】

問題

平行四辺形 ABCDABCD において、ABC=π6\angle ABC = \frac{\pi}{6}AB=aAB = aBC=bBC = baba \leq b とする。点 A,B,C,DA, B, C, D がそれぞれ長方形 EFGHEFGH の辺 EF,FG,GH,HEEF, FG, GH, HE 上にあるとき、長方形 EFGHEFGH の面積を SS とする。

(1) BCG=θ\angle BCG = \theta のとき、SSa,b,θa, b, \theta で表せ。

(2) SS の最大値を a,ba, b で表せ。

解法

(1) 平行四辺形の各頂点から長方形の辺への距離を θ\theta で表していきます。長方形の縦・横の長さをそれぞれ三角関数で表すと、

S=(bsinθ+acos(θ+π3))(bcosθ+asin(θ+π3))S = \left(b\sin\theta + a\cos\left(\theta+\frac{\pi}{3}\right)\right)\left(b\cos\theta + a\sin\left(\theta+\frac{\pi}{3}\right)\right)

(2) SSθ\theta の関数として微分し、最大値を求めます。三角関数の合成や積和の公式を使って整理する必要があり、計算量が膨大です。

結果は aabb の大小関係によって場合分けが生じます。

  • ab2aa \leq b \leq \sqrt{2}a のとき:

Smax=a4a2b2+b42+ab2S_{\max} = \frac{\sqrt{a^4-a^2b^2+b^4}}{2}+\frac{ab}{2}

  • b>2ab > \sqrt{2}a のとき:

Smax=34b2+ab2S_{\max} = \frac{\sqrt{3}}{4}b^2 + \frac{ab}{2}

講評

方針自体はオーソドックスなのですが、計算量で殴ってくるタイプの問題です。三角関数の合成や場合分けなど、途中で計算ミスをすると致命的なので、一つ一つの計算を丁寧に進めることが大切ですね。

第1問と並んで、粘り強く計算できた人が得点を稼いだ問題だったと思います。


第4問:平方数に関する整数問題【難易度D】

問題

この問いでは、00 以上の整数の 22 乗になる数を平方数と呼ぶ。aa を正の整数とし、fa(x)=x2+xaf_a(x) = x^2 + x - a とおく。

(1) nn を正の整数とする。fa(n)f_a(n) が平方数ならば、nan \leq a であることを示せ。

(2) fa(n)f_a(n) が平方数となる正の整数 nn の個数を NaN_a とおく。次の条件 (i), (ii) が同値であることを示せ。

  • (i) Na=1N_a = 1 である。
  • (ii) 4a+14a + 1 は素数である。

解法

(1) fa(n)=n2+naf_a(n) = n^2 + n - a が平方数だとすると、次の不等式に着目します。

(n+1)2fa(n)=n2+2n+1(n2+na)=n+1+a>0(n+1)^2 - f_a(n) = n^2+2n+1-(n^2+n-a) = n+1+a > 0

つまり fa(n)<(n+1)2f_a(n) < (n+1)^2 です。fa(n)f_a(n) が平方数なら fa(n)n2f_a(n) \leq n^2 でなければなりません。

n2+nan2    nan^2+n-a \leq n^2 \implies n \leq a \quad \blacksquare

ポイント: 隣り合う平方数 n2n^2(n+1)2(n+1)^2 の間に平方数は存在しない、という性質を使っています。

(2) まず fa(a)=a2+aa=a2f_a(a) = a^2+a-a = a^2 は平方数なので、n=an = a は常に条件を満たします。

(1)と合わせると、Na1N_a \neq 1 は「1n<a1 \leq n < afa(n)f_a(n) が平方数になるものが存在する」ことと同値です。

fa(n)=m2f_a(n) = m^2m0m \geq 0 は整数)とすると、

n2+na=m2n^2+n-a = m^2

両辺を 44 倍して整理すると、

(2n+1)2(2m)2=4a+1(2n+1)^2 - (2m)^2 = 4a+1

(2n+2m+1)(2n2m+1)=4a+1(2n+2m+1)(2n-2m+1) = 4a+1

(ii)(i)(ii) \Rightarrow (i) 4a+14a+1 が素数なら、正の因数分解は 1×(4a+1)1 \times (4a+1) のみ。これより 2n2m+1=12n-2m+1 = 1 すなわち n=mn = m、そして 2n+2m+1=4a+12n+2m+1 = 4a+1 から n=an = a。よって Na=1N_a = 1

(i)(ii)(i) \Rightarrow (ii) 4a+14a+1 が素数でないとすると、4a+1=(2p+1)(2q+1)4a+1 = (2p+1)(2q+1)p,q1p, q \geq 1)と表せます。n=p+qn = p+q, m=pqm = |p-q| とおくと 1n<a1 \leq n < a かつ fa(n)=m2f_a(n) = m^2 となり、Na2N_a \geq 2。対偶をとれば (i)(ii)(i) \Rightarrow (ii) が示されます。\blacksquare

講評

東大が好む整数問題です。(1)は隣り合う平方数の間に平方数がないという基本的な議論で、ここは確実に取りたいところです。

(2)は (2n+1)2(2m)2=4a+1(2n+1)^2 - (2m)^2 = 4a+1 という変形に気づけるかがカギでした。差の因数分解は整数問題の定番テクニックですが、試験本番でこの発想に至れるかは難しいところですよね。洒落た良問だと思います。


第5問:札の入れ替え操作と漸化式【難易度D】

問題

nn22 以上の整数とする。11 から nn までの数字が書かれた札 nn 枚が横一列に並んでいる。1in11 \leq i \leq n-1 に対して、操作 (Ti)(T_i) を「左から ii 番目の札の数字が左から (i+1)(i+1) 番目の札の数字より大きければ、この 22 枚を入れ替える。そうでなければ何もしない。」と定める。

最初の状態を A1,A2,,AnA_1, A_2, \cdots, A_n とし、操作 (T1),(T2),,(Tn1)(T_1), (T_2), \cdots, (T_{n-1}) を順に実行した後、続けて (Tn1),,(T2),(T1)(T_{n-1}), \cdots, (T_2), (T_1) を順に実行したところ、最終的に 1,2,,n1, 2, \cdots, n と小さい順に並んだ。

(1) A1A_1A2A_2 のうち少なくとも一方は 22 以下であることを示せ。

(2) 最初の状態としてありうる並び方 A1,A2,,AnA_1, A_2, \cdots, A_n の総数を cnc_n とする。nn44 以上の整数であるとき、cnc_ncn1c_{n-1}cn2c_{n-2} を用いて表せ。

解法

(1) 前半の操作 (T1),(T2),,(Tn1)(T_1), (T_2), \cdots, (T_{n-1}) では、隣り合う2枚を左から順に比較して大小が逆なら入れ替えるので、最大の数 nn が確実に右端に移動します。後半の操作 (Tn1),,(T2),(T1)(T_{n-1}), \cdots, (T_2), (T_1) では右から順に比較するので、最小の数 11 が確実に左端に移動します。

最終的に 1,2,,n1, 2, \cdots, n と並ぶためには、後半の操作開始時に 22 が左端にある必要があります。前半の操作で 22 の位置は最大で 11 回しか変化しないことを考えると、A1=2A_1 = 2 または A2=2A_2 = 2 でなければなりません。

A1=1A_1 = 1 のときは(1122 以下なので)主張が成立。A11A_1 \neq 1 かつ A21A_2 \neq 1 のときは上の議論から A1=2A_1 = 2 または A2=2A_2 = 2 です。いずれにしても A1A_1A2A_2 の少なくとも一方が 22 以下です。\blacksquare

(2) (1)の結果を利用して、A1,A2A_1, A_2 の値で場合分けします。

(a) A1=1A_1 = 1 のとき: 操作 (T1)(T_1) で交換は起こらず、A2,,AnA_2, \cdots, A_n から 11 を引いた並びが (n1)(n-1) 枚の有効な並びに対応 → cn1c_{n-1} 通り

(b) A2=1A_2 = 1 のとき: 操作 (T1)(T_1)11 が左端に移動。以後は (a) と 1111 に対応 → cn1c_{n-1} 通り

(c) A1=2A_1 = 2, A23A_2 \geq 3 のとき: 33 以上の数から 11 を引くと、左端が 11 でない (n1)(n-1) 枚の有効な並びに対応 → cn1cn2c_{n-1} - c_{n-2} 通り

(d) A13A_1 \geq 3, A2=2A_2 = 2 のとき: 操作 (T1)(T_1)22 が左端に移動。以後は (c) と 1111 に対応 → cn1cn2c_{n-1} - c_{n-2} 通り

以上を合計すると、

cn=4cn12cn2\boldsymbol{c_n = 4c_{n-1} - 2c_{n-2}}

講評

この問題はいわゆるシェーカーソート(バブルソートの双方向版)を題材にした問題です。アルゴリズムの動きを正確に追跡する必要があり、問題の構図を理解するだけで一苦労という受験生が多かったでしょう。

(1)は丁寧に操作を追えば示せますが、(2)の漸化式を導くには場合分けの対応関係を見抜く力が求められます。本番で完答できた受験生はかなり少なかったのではないでしょうか。


第6問:複素数平面【難易度C】

問題

複素数平面上の点 12\frac{1}{2} を中心とする半径 12\frac{1}{2} の円の周から原点を除いた曲線を CC とする。

(1) 曲線 CC 上の複素数 zz に対し、1z\frac{1}{z} の実部は 11 であることを示せ。

(2) α,β\alpha, \beta を曲線 CC 上の相異なる複素数とするとき、1α2+1β2\frac{1}{\alpha^2}+\frac{1}{\beta^2} がとりうる範囲を複素数平面上に図示せよ。

(3) γ\gamma を (2) で求めた範囲に属さない複素数とするとき、1γ\frac{1}{\gamma} の実部がとりうる値の最大値と最小値を求めよ。

解法

(1) CC 上の点は z=12+12(cosθ+isinθ)z = \frac{1}{2} + \frac{1}{2}(\cos\theta + i\sin\theta)θπ\theta \neq \pi)と表せます。

計算すると、1z=1itanθ2\frac{1}{z} = 1 - i\tan\frac{\theta}{2} となり、実部は常に 11 です。\blacksquare

(2) (1)より 1α=1+ai\frac{1}{\alpha} = 1 + ai1β=1+bi\frac{1}{\beta} = 1 + biaba \neq ba,ba, b は実数)と表せます。

1α2+1β2=(1+ai)2+(1+bi)2=2a2b2+2(a+b)i\frac{1}{\alpha^2}+\frac{1}{\beta^2} = (1+ai)^2+(1+bi)^2 = 2-a^2-b^2+2(a+b)i

X=2a2b2X = 2-a^2-b^2, Y=2(a+b)Y = 2(a+b) とおくと、a2+b2(a+b)22=Y28a^2+b^2 \geq \frac{(a+b)^2}{2} = \frac{Y^2}{8} より、

X=2(a2+b2)2Y28X = 2-(a^2+b^2) \leq 2 - \frac{Y^2}{8}

等号は a=ba = b のとき成立しますが、aba \neq b なので境界は含みません。

したがって、とりうる範囲は**放物線 x=2y28x = 2 - \frac{y^2}{8} の左側(境界を含まない)**です。

(3) γ=x+yi\gamma = x + yi が (2) の範囲に属さない、すなわち x2y28x \geq 2 - \frac{y^2}{8} を満たすとき、1γ\frac{1}{\gamma} の実部 xx2+y2\frac{x}{x^2+y^2} のとりうる値の範囲を求めます。

制約条件のもとで最適化を行うと、

最大値=12,最小値=116\text{最大値} = \boldsymbol{\frac{1}{2}}, \quad \text{最小値} = \boldsymbol{-\frac{1}{16}}

講評

(1)は逆数を取ると実部が一定になるという美しい性質の証明で、ここは確実に得点したいところです。(2)は変数変換で放物線の領域に帰着する問題で、手順通りにやれば解けます。

(3)は最適化の問題で、やや計算が重くなりますが、(1)(2)が解けていれば方針は立てやすいですね。全体として段階的に難度が上がる良い構成の問題でした。


理系数学の合格戦略

2025年度のように難しいセットでは、以下の戦略が有効です。

難しい年の東大理系数学で合格点を取る戦略!

1.第1問を最優先で解く(最も取りやすく配点効率が良い)

2.第3問・第6問(1)(2)で得点を積む

3.第2問(1)・第4問(1)の部分点を拾う

4.第5問は無理に手を出さない(最も完答が困難)

合格点の目安は120点中40〜50点程度だったと言われています。4割でいいんです。この年は「解けない問題があって当たり前」という心構えが大切でしたね。


東大文系数学 2025年度 全4問の解説

第1問:放物線の法線に関する問題【難易度B】

問題

aa を正の実数とする。座標平面において、放物線 C:y=x2C: y = x^2 上の点 P(a,a2)P(a, a^2) における CC の接線と直交し、PP を通る直線を \ell とおく。\ellCC の交点のうち、PP と異なる点を QQ とおく。

(1) QQxx 座標を求めよ。

(2) QQ における CC の接線と直交し QQ を通る直線を mm とおく。mmCC の交点のうち QQ と異なる点を RR とおく。RRxx 座標の最小値を求めよ。

解法

(1)P(a,a2)P(a, a^2) における接線の傾きは y=2ay' = 2a なので、法線 \ell の傾きは 12a-\frac{1}{2a} です。

:y=12a(xa)+a2\ell: y = -\frac{1}{2a}(x-a)+a^2

これと y=x2y = x^2 を連立すると、

x2+12ax12a2=0x^2+\frac{1}{2a}x-\frac{1}{2}-a^2 = 0

x=ax = a が一つの解なので、因数分解すると (xa)(x+a+12a)=0(x-a)\left(x+a+\frac{1}{2a}\right) = 0

Q の x 座標=a12a\boldsymbol{Q\text{ の }x\text{ 座標} = -a-\frac{1}{2a}}

(2) b=a12ab = -a-\frac{1}{2a} とおくと、同じ要領で RRxx 座標は b12b-b-\frac{1}{2b} です。

a>0a > 0 より b2b \leq -\sqrt{2}(相加相乗平均の関係 a+12a2a + \frac{1}{2a} \geq \sqrt{2} から)。

c=b2c = -b \geq \sqrt{2} として、RRxx 座標 =c+12c= c + \frac{1}{2c} の最小値を求めます。

c+12c=34c+(14c+12c)342+214c12c=342+12=542c+\frac{1}{2c} = \frac{3}{4}c + \left(\frac{1}{4}c+\frac{1}{2c}\right) \geq \frac{3}{4}\sqrt{2}+2\sqrt{\frac{1}{4}c \cdot \frac{1}{2c}} = \frac{3}{4}\sqrt{2}+\frac{1}{\sqrt{2}} = \frac{5}{4}\sqrt{2}

ここで 14c=12c\frac{1}{4}c = \frac{1}{2c} より等号成立条件は c=2c = \sqrt{2} で、c2c \geq \sqrt{2} の範囲内で成立します。

R の x 座標の最小値=524\boldsymbol{R\text{ の }x\text{ 座標の最小値} = \frac{5\sqrt{2}}{4}}

注意: この問題で素朴に相加相乗平均を c+12c212=2c + \frac{1}{2c} \geq 2\sqrt{\frac{1}{2}} = \sqrt{2} と適用すると、等号成立条件は c=12c = \frac{1}{\sqrt{2}} ですが、これは c2c \geq \sqrt{2} の範囲外なので等号が成立しません。つまり、2\sqrt{2} は最小値ではないのです。

そこで上のように 34c+(14c+12c)\frac{3}{4}c + \left(\frac{1}{4}c + \frac{1}{2c}\right) と分割して、定義域内で等号が成立する形に工夫する必要がありました。

講評

(1)は法線の方程式を立てて交点を求めるだけの標準問題です。(2)が本問最大の罠で、「相加相乗平均を使えば簡単に解ける」と飛びつくと、等号成立条件が範囲外で成立しないという落とし穴にはまります。

東大はこの手の罠を仕掛けてくるのが得意ですよね。相加相乗平均を使うときは、答えを出した後に等号成立条件が定義域内にあるかを必ず確認する習慣をつけておきましょう。


第2問:二等辺三角形と3つの円【難易度B】

問題

平面上で AB=AC=1AB = AC = 1 である二等辺三角形 ABCABC を考える。正の実数 rr に対し、A,B,CA, B, C それぞれを中心とする半径 rr の円 33 つを合わせた領域を DrD_r とする。辺 ABAB, ACAC, BCBC がすべて DrD_r に含まれるような最小の rrss、三角形 ABCABCDrD_r に含まれるような最小の rrtt とする。

(1) BAC=π3\angle BAC = \frac{\pi}{3} のとき、sstt を求めよ。

(2) BAC=2π3\angle BAC = \frac{2\pi}{3} のとき、sstt を求めよ。

(3) 0<θ<π0 < \theta < \pi を満たす θ\theta に対して、BAC=θ\angle BAC = \theta のとき、ssttθ\theta を用いて表せ。

解法

(1) BAC=π3\angle BAC = \frac{\pi}{3} のとき、三角形 ABCABC は正三角形です。

辺の中点が3つの円から最も遠い点になるので、ss は辺の中点までの最短距離です。ABAB の中点から AA または BB までの距離は 12\frac{1}{2} なので s=12\boldsymbol{s = \frac{1}{2}}

tt は三角形全体を覆う必要があるので、外心(=重心)から頂点までの距離が関わります。正三角形の外接円の半径は 13\frac{1}{\sqrt{3}} です。 t=33\boldsymbol{t = \frac{\sqrt{3}}{3}}

(2) BAC=2π3\angle BAC = \frac{2\pi}{3} のとき、BC=3BC = \sqrt{3}(余弦定理より)。

この場合、辺 BCBC の中点が最も覆いにくい点です。BB から BCBC の中点までの距離は 32\frac{\sqrt{3}}{2}AA から BCBC の中点までの距離も計算すると 12\frac{1}{2} ですが、B,CB, C の円で覆う方が効率的です。

計算すると s=t=33\boldsymbol{s = t = \frac{\sqrt{3}}{3}}

(3) 一般の θ\theta に対して、外心の位置が三角形の内部にあるか外部にあるかで場合分けが必要です。

  • 0<θπ30 < \theta \leq \frac{\pi}{3} s=12s = \frac{1}{2}, t=12cosθ2\quad t = \frac{1}{2\cos\frac{\theta}{2}}

  • π3<θπ2\frac{\pi}{3} < \theta \leq \frac{\pi}{2} s=sinθ2s = \sin\frac{\theta}{2}, t=12cosθ2\quad t = \frac{1}{2\cos\frac{\theta}{2}}

  • π2<θ<π\frac{\pi}{2} < \theta < \pi s=t=12sinθ2s = t = \frac{1}{2\sin\frac{\theta}{2}}

講評

(1)(2)は具体的な角度なので比較的取り組みやすいですが、(3)の一般化で場合分けが3つに分かれるのがポイントです。

外心が三角形の内部にあるか辺上にあるか外部にあるかで状況が変わるので、丁寧に図を描いて場合分けの境界を見極めることが重要ですね。


第3問:確率漸化式【難易度D】

問題

白玉 22 個が横に並んでいる状態から開始する。コインを投げて、表なら白玉、裏なら黒玉を右端に追加する。新しく追加した玉の色が左隣の玉と異なり、かつ 22 つ左の玉と同じ色のとき、左隣の玉を取りかえる。

(1) n=3n = 3 のとき、右から 22 番目の玉が白玉である確率を求めよ。

(2) nn を正の整数とする。右から 22 番目の玉が白玉である確率を求めよ。

(3) nn を正の整数とする。右から 11 番目と 22 番目の玉がともに白玉である確率を求めよ。

解法

(1) n=3n = 3 なので、初期状態「白白」からコインを3回投げます。3回のコイン投げは 23=82^3 = 8 通りです。

各回の操作後に右端2つの玉の状態を追跡していくと、3回の操作後に右から2番目が白玉になるのは8通り中5通りです。

P=58\boldsymbol{P = \frac{5}{8}}

(2) 右端2つの状態(白白、白黒、黒白、黒黒)で漸化式を立てます。状態遷移を追跡し、漸化式を解くと、

Pn=12n+12\boldsymbol{P_n = \frac{1}{2^n}+\frac{1}{2}}

(3) 同様に確率漸化式を立てて解くと、

Pn=12n+1+1313(12)n+1\boldsymbol{P_n = \frac{1}{2^{n+1}}+\frac{1}{3}-\frac{1}{3}\left(-\frac{1}{2}\right)^{n+1}}

講評

約10年ぶりの確率漸化式の出題です!東大文系数学の名物分野ですが、対策が手薄だった受験生にとっては厳しかったでしょう。

ポイントは右端2つの玉の色で状態を4パターンに分けることです。この状態設定さえできれば、あとは漸化式を立てて解くだけですが、連立漸化式になるため計算が複雑です。

(2)の答えが 12n+12\frac{1}{2^n}+\frac{1}{2} と比較的シンプルなのに対し、(3)は (12)n+1\left(-\frac{1}{2}\right)^{n+1} が出てくるあたりが面白いですね。


第4問:連立不等式の表す領域の面積【難易度C】

問題

aa を実数とする。座標平面において、次の連立不等式の表す領域の面積を S(a)S(a) とする。

{y12x2+2yx2+a1x1\begin{cases} y \leq -\frac{1}{2}x^2+2 \\ y \geq |x^2+a| \\ -1 \leq x \leq 1 \end{cases}

aa2a<2-2 \leq a < 2 の範囲を動くとき、S(a)S(a) の最大値を求めよ。

解法

x2+a|x^2+a| の絶対値の中身 x2+ax^2+a の符号で場合分けします。

場合 (i): 2a<1-2 \leq a < -1

1x1-1 \leq x \leq 1 の範囲で x2+ax^2+a は負になる部分と正になる部分があります。S(a)S(a)aa が増加すると単調増加します。

場合 (ii): 1a<0-1 \leq a < 0

x2+a=0x^2+a = 0 すなわち x=±ax = \pm\sqrt{-a} で符号が変わります。t=at = \sqrt{-a}0<t10 < t \leq 1)と置換して面積を計算すると、

f(t)=83t3+2t2+3f(t) = -\frac{8}{3}t^3+2t^2+3

微分すると f(t)=4t(2t+1)f'(t) = 4t(-2t+1) で、t=12t = \frac{1}{2} で最大値を取ります。

f(12)=8318+214+3=13+12+3=196f\left(\frac{1}{2}\right) = -\frac{8}{3}\cdot\frac{1}{8}+2\cdot\frac{1}{4}+3 = -\frac{1}{3}+\frac{1}{2}+3 = \frac{19}{6}

これは a=14a = -\frac{1}{4} に対応します。

場合 (iii): 0a<20 \leq a < 2

x2+a0x^2+a \geq 0 なので x2+a=x2+a|x^2+a| = x^2+a です。aa が増加すると yx2+ay \geq x^2+a の領域が上に移動するため、S(a)S(a) は単調減少します。

3つの場合を比較すると、a=14a = -\frac{1}{4} のとき最大値 196\boldsymbol{\frac{19}{6}} を取ります。

講評

絶対値の処理と場合分けが正確にできるかがポイントの問題です。グラフを描いて視覚的に領域を把握するのが一番確実ですね。

場合 (ii) での t=at = \sqrt{-a} の置換は少しテクニカルですが、これにより微分が綺麗な形になるので計算しやすくなります。196\frac{19}{6} という答えが出てくるのも面白いですよね。


文系数学の合格戦略

2025年度東大文系数学で合格点を取る戦略!

1.第1問から着手する(最も標準的で完答を狙える)

2.第2問(1)(2)で確実に部分点を取る

3.第4問は場合分けを丁寧に

4.第3問(確率漸化式)は時間に余裕があれば

文系数学も「簡単に完答できる問題が1つもない」というセットだったので、部分点を確実に集める戦い方が合格の鍵でした。


2026年度の受験生へのアドバイス

理系の受験生へ

  • 媒介変数表示・曲線の長さなど、出題頻度が低い分野も手を抜かないこと
  • はさみうちの原理を使った極限の評価問題に慣れておくこと
  • 整数問題は差の因数分解や mod を使ったアプローチを練習しておくこと
  • 第5問のようなアルゴリズム的な問題にも触れておくと良い
  • 時間配分の練習を過去問で徹底的にやること

文系の受験生へ

  • 確率漸化式は必ず対策しておく(状態の設定→漸化式→一般項の流れ)
  • 相加相乗平均の不等式を使うときは等号成立条件の確認を忘れずに
  • 絶対値を含む関数の場合分けに慣れておくこと
  • 図形問題では外心・内心の位置関係を正確に把握すること
  • 東大文系数学は4問80分なので、1問20分を目安に時間管理すること

どちらにも共通して言えるのは、「難しい年でも(1)は取れる」 ということです。各大問の(1)を確実に得点し、部分点を積み重ねる力が合格への最短ルートです。日頃の基礎固めを怠らず、標準的な問題を確実に解ける力をまず身につけていきましょう!

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この記事を書いた人

管理人

東京大学医学部医学科卒の医師。受験本番ではセンター数学満点、東大2次試験の数学は104点。東大受験を突破した経験を活かして、主に受験数学に関する記事を執筆しています。

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